加工デンプンの危険性とは。安全性が高いと思われがちだが・・・

私たちが普段、スーパーやコンビニで何気なく買っている食パンや冷凍うどん、ちくわなどの食品の多くには、加工デンプンという食品添加物が使われています。
添加物=体に良くないということは近年、多くの方に知られるようになり、添加物が入っていない食品を選ぶ方は増えて来ていますがでんぷんは、ジャガイモやお米などの天然の原料に含まれる為、安全性の高い添加物と思いがちになり、ついつい気にしないで買ってしまうという方は多いのではないでしょうか?
加工デンプンは、本当に危険性のない添加物なのでしょうか?

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でんぷんとは

でんぷんは、植物の葉緑体で行われる光合成によって生成される物質です。
葉緑体で生成されたでんぷんは、同化でんぷんと呼ばれます。
同化でんぷんがショ糖に分解され、根、茎、種子などの貯蔵組織の細胞に運ばれると再びでんぷんに変換され、貯蔵物質として蓄積されます。
このでんぷんを貯蔵でんぷんと呼びます。

私たちが摂取するでんぷんは全て、貯蔵でんぷんです。

でんぷんは、異なる性質を持つ単糖分子、アミロースとアミロペクチンがグルコシドグリコシド結合によってネックレスのようにつながって成り立った多糖類です。

アミロースとアミロペクチンは分子構造が異なる為、その性質に違いがあります。
直鎖状で、分子量が少ないアミロースに対し、アミロペクチンは枝分かれしているので、分子量が多いのが特徴です。
その為、アミロースは水にも溶けますがアミロペクチンは粘りやすいので、水に溶けません。
しかし、ゆっくりとかき混ぜながら加熱するとアミロペクチンは溶けていきます。
すると全体が糊状(ゲル状)になる「糊化」現象が起こります。
そして、「糊化」したでんぷんを冷やすと白く濁って、水と分離する為、水分が蒸発することで、粘りがなくなり、固くなる「老化」現象が起こります。

アミロースが少ないほど、粘り気が強く、「老化」現象が遅くなります。

でんぷんは、植物によって、以下のように様々な種類があります。
植物によって、アミロース、アミロペクチンの構成量は異なりますので、用途によって、使用される植物が異なります。

  • 米でんぷん・・・原料、米。
  • 馬鈴薯でんぷん・・・原料、じゃがいも。
  • 小麦でんぷん・・・原料、小麦粉。
  • コーンスターチ・・・原料、とうもろこし。
  • タピオカでんぷん・・・原料、キャッサバの根
  • 豆でんぷん・・・ソラマメ、緑豆、小豆などの豆類。
  • 甘藷でんぷん・・・原料、サツマイモ。
  • くずでんぷん(葛粉)・・・原料、クズの根。
  • 片栗粉・・・原料、カタクリ。

小麦でんぷんには、27~29%のアミロースがありますがタピオカでんぷんは、16~17%とアミロースの割合が低い為、モチモチとした食感が出ることから冷凍うどんには、タピオカでんぷんがよく使用されます。
またアミロペクチンが100%である米でんぷん(もち米)からはお餅やあんみつの白玉などが作られます。

加工デンプンとは

加工デンプンは、米、じゃがいも、小麦、トウモロコシなどの天然のでんぷんに以下の様々な化学薬品を混ぜて作られたでんぷんのことです。

  • アセチル化リン酸架橋デンプン
  • アセチル化アジピン酸架橋デンプン
  • アセチル化酸化デンプン
  • オクテニルコハク酸デンプンナトリウム
  • 酢酸デンプン
  • 酸化デンプン
  • ヒドロキシプロピルデンプン
  • ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン
  • リン酸化デンプン
  • リン酸架橋デンプン
  • リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン
  • デンプングルコール酸ナトリウム

加工デンプンは、天然でんぷんと区別することなく、これまで食品の原材料には、「でんぷん」「澱粉」「でん粉」「加工デンプン」「加工澱粉」「加工でん粉」等、表示されていましたが平成23年(2011年)より添加物の扱いとなったことで加工デンプンは、食品添加物として、上記の「アセチル化リン酸架橋デンプン」~「デンプングルコール酸ナトリウム」などと合成化学物質名による表示が必要となりました。

ですが必ずしも表記しなければならないというわけではない為、加工デンプンが使用された多くの食品の原材料には、上記の物質名ではなく、「加工デンプン」「加工澱粉」「加工でん粉」等の簡略名が表記されているのが現状です。
(オクテニルコハク酸デンプンナトリウムは、オクテニルコハク酸デンプンNaと簡略表記されることがあります。)

天然でんぷんは、これまでと変わることはなく、「でんぷん」「澱粉」「でん粉」等の表示がされています。

加工デンプンの用途とは

でんぷんは、天然のまま、利用されることもありますが以下のような食品には、天然でんぷんの欠点をカバーする為、糊化促進、或いは糊化を制御し、老化を防止する化学物質を加えた加工デンプンが多く利用されています。

  • 冷凍うどん、冷凍パスタなどの冷凍食品
  • 食パン、菓子パン
  • ケーキ、クッキーなどの洋菓子
  • ちくわ、かまぼこ、魚肉ソーセージなどの水産練り製品
  • から揚げ、トンカツなどのフライ食品の衣
  • ソース
  • ドレッシング
  • タレ

冷凍・解凍の際、でんぷんの急激な老化を防ぐ為に冷凍耐性・老化防止に優れた酢酸デンプンやヒドロキシプロピル化デンプンがよく利用され、製造されるのが冷凍食品、インスタント食品、チルド食品です。

モチモチ、ふわふわの食感を出し、長時間、それを維持する為に小麦デンプンの糊化度を高め、また劣化度を低くする為にアセチル化架橋デンプンやヒドロキシプロピル化架橋デンプンがよく利用され、製造されるのがパンやケーキ、お菓子です。

ちくわやかまぼこに弾力性を持たせる為にゲル化を高めるリン酸架橋デンプンがよく利用されています。

サクサクとした食感を出す為に、フライの衣には、水抜けが良く、粘りが少ない酸化デンプンがよく利用されます。

ソースやタレなどにとろみや粘り気を高める為にリン酸架橋デンプンをよく利用しています。

このことから加工デンプンは、以下を総称した増粘安定剤(糊料)の用途で利用されます。

  • 増粘剤・・・食品にとろみや粘り気を高める。
  • 安定剤・・・液体と固体を均一に混ぜる。
  • ゲル化剤・・・ゼリーのように固める。

また水と油などの性質の異なる物質の表面に働き、性質を変えて、均一に混ざりやすくする乳化剤(オクテニルコハク酸デンプンナトリウム)として利用されることもあります。

更にでんぷんは、分解すれば糖分として利用することが出来るようになる為、ブドウ糖、果糖、異性化糖などに加工し、コーラ、スポーツドリンク、ヤクルト、野菜ジュースや果物ジュースなどの清涼飲料水に利用されます。

加工デンプンの危険性とは

アレルギーを引き起こすアレルゲン(抗原)の多くはたんぱく質ですので、たんぱく質が殆ど残っていない小麦でんぷんでは小麦アレルギーは起こりにくいと言えます。

しかし、たんぱく質が僅かに残った天然でんぷんに化学薬品がくっつき、合成たんぱく質が生まれてしまえば小麦アレルギーになってしまうリスクが高まると言われています。

つまり、グルテンフリーの食品を選択したからと言って、小麦アレルギーが起こらないとは限らないと言うわけです。

食品添加物における加工デンプンの場合、「加工デンプン」としか表記されていないことが多くある為、小麦なのか判断しにくいということがありますので、小麦アレルギーの方はメーカーにどんなでんぷんを使っているのかを問い合わせてみましょう。

またでんぷんに加える化学薬品の量は、特に決められてはいません。
更にどんな食品に利用してもOKとなっていますので、どんな恐ろしい合成デンプンが生まれるかは分からない為、安全性は決して高いとは言えません。
健康を害さないと誰が言い切れるでしょうか。

実際、EUの動物実験では、健康に害が出たとの理由で発がん性の懸念があるプロピレンオキシドをエーテル化剤として用いる、「ヒドロキシプロピルデンプン」「ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン」を乳幼児用のミルクやベビーフードなどに用いることを禁止しています。
日本の厚生労働省もその危険性を認めている為、乳幼児用の食品には用いられていないようですが他の加工デンプンに関しては、基本的に安全であるとして、特に規制はされていないのが現状です。

その他、でんぷんの原料によっては、遺伝子組み換え食品である可能性があります。
組み込まれた遺伝子がどのように変化していくのかについては分かっていませんので、遺伝子組み換え食品を使った加工デンプンは更なる危険性を高めることとなるでしょう。

実際、フランスのマウスによる実験で長期に渡って遺伝子組み換え食品を食べたマウスには大きな腫瘍が発生したとの報告がなされています。

遺伝組み換え作物は、枯葉剤の成分を含んだ強力な農薬が使用されていることがあると言われていますので、奇形の発生率も高まる可能性はないとは言い切れません。

加工デンプンは、安価である為、大量生産が必要となる冷凍食品やレトルト食品、ハムやソーセージ、ソース、市販のパンやお菓子など数多くの加工食品に使われていますので、加工デンプンを避けることは、極めて難しいと言えますがしっかり原材料をチェックして、なるべく加工デンプンが使用されていない食品を選びたいですね。

おわりに

ツルツルした食感が魅力のうどんやモチモチでふわふわな食感が魅力のパンやケーキ、サクサク感が魅力のフライが美味しく感じるのは加工デンプンのおかげなのですが加工デンプンは、天然のでんぷんに化学薬品を混ぜて作られた合成デンプンである為、長期に渡って摂り続けることで、加工デンプンによる健康の害が生じてしまう可能性があります。

とりわけ体の発育が十分ではない乳幼児は、加工デンプンが体の中でどのような悪影響を及ぼすかは尚、未知である為、乳幼児に加工デンプンを摂らせるのは、控えることがベストであると言えるでしょう。

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