TPPとは環太平洋戦略的経済連携協定のことで、戦略的な経済パートナーシップなどと言われたりします。
要は「加盟各国で経済を解放し、お互いの経済の中に入っていきましょう」という話。
TPPはそのためのルールということなります。
協定文書に署名した国は日本をはじめ、アメリカ、シンガポール、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、メキシコ、チリの12か国。
日本のメディアでも「関税だー」、「農業だー」、「主要5品目だー」なんてよく騒いでいますね。
日本では農業や関税にのみ焦点があたっていますが、トンデモナイです。
実はTPPで協議されている分野は全部で24分野あり、農業や関税に関する取り決めはほんのわずかです。
日本のメディアは意図的に報道しないのか、本当にわからず報道しているか・・・。
まあどちらにせよ問題ですが、とはいえここですべて紹介すると文章が長くなり過ぎてしまい、読むのが辛くなってしまう方も多いと思うので、ここでは世にも恐ろしい「ISD条項」を軸にポイントを絞って解説します。
ISD条項の恐ろしさ
TPPのことを全てわからなくても、このISD条項を知るとほとんどの人が反対派になるかもしれませんね。
TPPの最大のポイントはこのISD条項にあるといっても過言ではありません。
2012年、自民党が与党に返り咲いたときの選挙公約で「国家の主権を損なうようなISD条項は合意しない」とありました。そしていまや次期総裁とも言われる自民党の防衛大臣、稲田朋美氏も2011年当時「日本が日本でなくなる」と言っていましたね。
そうなんです。ISD条項は国の主権を侵害することができる恐ろしいルールなんです。
ISD条項とは?
企業や投資家が相手国(公共団体含む)の政策や規制で不利益を被った時、相手国を直接裁判にかけることができる。そのルールのことを指します。
例えば、裁判が行われる場所はワシントンDCにある世界銀行の傘下組織である「国際投資紛争解決センター」で行われることが決まっている。
世界銀行はアメリカの影響力が最も強い。ということは国際投資紛争解決センターもアメリカの影響力が強く、裁判もアメリカよりの判決を下す。
実際にNAFTA(北米自由貿易協定)では、アメリカ企業の勝訴率は100%で負けなしとも言われている。※それくらい偏った判決事例が多い。
裁判はすべて密室裁判。
控訴できない。つまり一度決まった判決は覆せない
そして裁判の争点は、相手国の規制や法律、人々の健康、環境は問題にせず、企業や投資家が損害を被ったかどうかで争われる。
国またはその国の地方公共団体が敗訴した場合、規制緩和と1件あたりの裁判で100億~1000億の多額な損害賠償を支払うことになる。また訴訟費用だけでも年間数億と言われている。
これは政府や法律よりもこのTPPのルールのほうが上になるということ。完全に主権侵害。
こういった訴訟が日本でも年間数百件あげられることが予想され国や地方公共団体は財政破たんすると指摘されている。
そしてそもそも、賠償金はどこの誰が払うのか?
税金ですよね。つまり日本に税金を納めている国民が払うということになります。
訴訟事例
既にISD条項をいれているNAFTA(北米自由貿易協定(アメリカ、メキシコ、カナダの三カ国))やオーストラリアや韓国で導入されているFTA(2国間自由貿易協定)。
ISD条項に基づく裁判事例をみると・・・
事例1
アメリカのA社がカナダに石油を輸出していたが、その石油には人体や環境に有害な化学物質が添加されていたことが判明。カナダ政府が使用を禁止したところ、このA社は損害を被ったとしてカナダ政府を提訴。A社はこの裁判に勝訴し、カナダは「規制緩和」と数百億の「損害賠償」が決定した。
事例2
カナダの法廷がアメリカの巨大製薬会社のE社の製品に対して特許期間延長を認めないとした判決に対する損害賠償請求。
具体的にいうと、E社のADHD用の薬の効果について「エビデンス不足としているとして特許不承認」としたことにより、将来の利益が過小評価されたとして訴訟を起こしたのである。
事例3
オーストラリア政府が「タバコの吸い過ぎに対する注意喚起を促す公衆衛生規則」が不当な貿易障壁として、ISD条項にもとづきアメリカの大手タバコ産業の子会社がオーストラリア政府に対して訴訟を行った。
また同じくアメリカの燃料会社が不当な環境規制としてオーストラリア政府を相手に訴訟を起こした。
TPPは誰が得をするのか
このTPPで誰が得をするのかというと99.9%の富をもつ、1%の人々です。
つまりアメリカの超巨大多国籍企業を支配する人たち。
そしてこのTPPを文書を作ったのは、その多国籍企業の弁護士たちで、TPPとはアメリカの企業弁護士が日本に仕掛けた経済侵略ともいえる。
日本でこれから起きること
一部例を挙げると。
遺伝子組み換えではない」などの表示は禁止される?
遺伝子組み換え食品はアメリカのモンサントという巨大多国籍企業が開発している。
モンサント側から見ると日本の規制が参入障壁になるので規制緩和をもとめてくるだろうと言われている。
つまり商品パッケージに遺伝子組み換えに関する表示を記載すると売れなくなるから表示禁止にしろということ。
肉や野菜などの「産地表示」がなくなる?
国産や○○県産などの表記ができなくなる。
理由は遺伝子組み換えと同じ。
車の安全基準の引き下げ
日本車の安全基準は世界一高い。これが障壁なる。
基準の引き下げを求めてくる
軽自動車廃止?
存在自体が参入障壁
国民皆保険の廃止
国民皆保険は非関税障壁。アメリカの医療系企業が参入できないので廃止しろと言われている。
労働
域内の労働者はビザなしで好きな国で自由に就労可能になる。
NAFTAではメキシコから50万人もの大量の移民がアメリカへ行き、アメリカ人の失業率が
トランプさんがここ嫌がってましたね。
メディア規制の廃止
テレビ局などのメディアは、現在のところ外資が保有できる株式は20%までと制限がある。
この規制が撤廃されると、例えば外資の都合の悪い報道はされないことは当然のこと、今よりも情報が操作され、言論統制が厳しくなるとも言われている。
政府調達
政府調達という分野がある。
日本の特別会計200兆円も訴訟の対象になると言われている。
このルールはすべての政府調達は、公共事業などインターネット場で英語で世界中から公募し入札を行わなくてはならなくなる。
小泉進次郎・農林水産部長が証人喚問?
上の政府調達と同じですが、政府予算事業はすべて内国民待遇をしなくてはいけません。
内国民待遇とは他の国の企業や国民も自国と同様の扱いにすることです。
しかしTPP文書に合意後のこと、2016年の参院選前に小泉新次郎農林水産部長が「TPP対策として国外から輸入されたお米と同量の国内産のお米を備蓄米として購入する」さらに「牛肉や豚肉を生産する農家の赤字を補填する制度も法制化する」と発表している。
これは自国を優遇してしまっているのでTPPの協定違反となる。
またTPP対策をしてはいけないという条約もあるが、はっきりと「TPP対策」と言ってしまっている。
最後に
実際にアメリカの国民7割以上、国会議員ほとんどが反対と言われています。
TPPによって徳をするのは多国籍企業であってアメリカ政府にとってもいいことがないからです。
先日のアメリカの大統領選にて次期大統領にトランプ氏に決まったことでアメリカの国会ではTPPを批准しないことがほぼ決定的になったそうです。
つまりアメリカの国会で承認しないということです。
※2018年2月までにアメリカが批准しなければTPPは流れるそうです。
日本政府としてはTPPを批准するようトランプ氏に働きかけているみたいです。つまり日本はTPPやりたいということですね。
二国間で行う貿易協定FTAも模索しているのだとか・・・
ISD条項が盛り込まれていればTPPだろうがFTAだろうが同じことですね・・・
とにかくISD条項だけでも削除できるよう政府には頑張っていただきたいところです。
▼参考
- そうだったのか!TPP 24のギモン TPPの問題点についてまとめたリーフレットをPDFで無料ダウンロードできます。
- 参議院議員 山本太郎オフィシャルサイトの動画より
- 苫米地英人氏 オフィシャルブログ内の動画より
オススメですので是非ご覧になってください。
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