ビタミンEは植物油や大豆、アーモンドなどのナッツ類、緑黄色野菜などに含まれる脂溶性のビタミンです。科学名は「トコフェロール」。
ビタミンEは活性酸素を除去する働き「抗酸化作用」を始め、抗不妊作用(不妊症治療として)、血行促進、がん予防など人体に有効な生理活性があることがわかっています。
サプリメントなどで摂取する人も多く、また食品添加物として食品の酸化防止を目的に使われる場合も多い。その他特定機能食品など栄養強化を目的としたり、畜産のエサにビタミンEを混ぜ畜産自体の栄養強化を目的として使われたります。
- 食品の酸化防止剤(食品添加物)
- 食品の栄養強化
- 医薬品(サプリメントなど)
- 飼料(畜産のエサ)
しかしビタミンEと言っても実はいくつか種類があるのをご存知でしょうか。※結構重要です。
ビタミンEの種類にトコフェロールとトコトリエノール
ビタミンEは大きく分けるとトコフェロールとトコトリエノールの2つに分かれ、さらにそれぞれα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類に分かれるので合計8種類存在します。
- α-トコフェロール
- β-トコフェロール
- γ-トコフェロール
- δ-トコフェロール
- α-トコトリエノール
- β-トコトリエノール
- γ-トコトリエノール
- δ-トコトリエノール
それぞれ作用が異なり、中でもα-トコフェロールが市場で最もよく使われているようです。
その理由は人間の体にもっとも多いビタミンEはα-トコフェロールで、体内の生理活性が高いとされるからです。
しかしここで注意が必要です。
天然と合成がある
大豆や小麦胚芽などから抽出される天然のビタミンEは「d-α-トコフェロール」(D体)、石油などから作られる合成ビタミンEは「dl-α-トコフェロール」(DL体)と区別され、天然か合成を見極める判断材料の一つになります。
両者は分子構造は同じですが、生体内に入った時に違った作用をもたらします。
これを光学異性体(こうがくいせいたい)と呼び、一部の化合物はD体、L体とに分けられ、通常ビタミンEはD体と呼ばれるものです。体内に存在するのもD体です。
これが化学合成で作ると両方半分ずつの割合でL体も混ざり込んでくる。(ラセミ体という)
すなわち「合成ビタミンE=dl-α-トコフェロール」となる。
作用
d-α-トコフェロール(D体)は抗酸化作用があり、dl-α-トコフェロール(DL体)には抗酸化作用がほとんどない。
分子構造は同じだが体はきちんとこの違いを判別します。
※ちなみに味の素で有名なグルタミン酸ナトリウムはL体が独特のうま味をだすが、D体の場合だとうま味がまったくないそうです。
原料の問題
天然のビタミンEはアメリカからの輸入も多く、原料は大豆由来も多いことから遺伝子組み換えの心配は正直あります。※中国からの輸入も年々増加傾向にあります。
一方、合成の場合は石油やテレビン油から作られ、人体に不要な成分も含まれています。
天然型ビタミンE
天然とは違う「天然型」というものもあります。
特に定義はないらしいのですが、天然のビタミンEを酢酸やコハク酸などで安定化させたものとのこと。
生理活性の強い順は、天然>天然型>合成となります。
酸化防止剤
食品添加物として使われる酸化防止剤は油脂(不飽和脂肪酸)の酸化を防ぐ目的。
合成ビタミンE「dl-α-トコフェロール」が使われています。
当然ながら加工食品に含まれるビタミンEに期待をしないことです。
※油脂に含まれる水素が離れ、酸素と結びつくでこと酸化します。
見極め方
成分表示をよくみること。
サプリメントはきちんと天然・合成の違いが分かりやすく表示してあるのがほとんど。
- どんな成分
- どこでだれが作っているのか
- 信頼できる販売者
※大手だからといって安心はできません
※加工食品の場合はその違いが明確でない場合が多い。
ちなみに、スーパーなどで売られる卵に「ビタミンE強化」と書いてあるのを見たことありませんか?あれは卵を産む鶏のエサに大量の合成のビタミンEを混ぜるのだそうです。
効果効能
抗酸化作用
ビタミンEは脂溶性ビタミンで細胞膜の脂質部分に入り込んで細胞膜を酸化から守ります。
酸化の起こる原因は食生活、紫外線、タバコ、ストレスなどから発生する活性酸素が原因のひとつ。活性酸素は体の細胞(タンパク質、脂質、DNA)を傷つけ体の酸化を促進し、ガンをはじめ重大な疾患の原因。シミ・シワなど老化を早めると言われています。
抗酸化作用の強い順は「δ>γ>β>α」となり、
その他の効果はその逆で「α>β>γ>δ」となっています。
またビタミンCと一緒に摂取するとビタミンEの働きがよくなるといわれています。
トコトリエノールが強力
トコトリノエールはトコフェロールよりも50~60倍ほど抗酸化作用が強く、スーパービタミンEとも呼ばれサプリメントや化粧品がとても人気が高いそうです。
トコトリエノールはパーム油やココナッツオイルから抽出されています。
※原料自体は日本人の体質に合いません。
抗不妊作用
元々、ビタミンEが発見されたのは不妊治療の研究中でのこと。
ギリシャ語でTocos「子どもを生む」、phero「力を与える」という意味から名付けられたそうです。
ただし抗不妊作用があるのはd-α-トコフェロールのみとされています。
その他
貧血にも効果ありとされています。また血行を良くする作用もあり、冷え症、頭痛や肩こりにもにもよいとされます。
持続性
体内のビタミンE濃度をみると、トコフェロールはその効果に持続性があり、トコトリエノールは細胞膜への浸透が早く効果に即効性がある。つまり両方を一緒に摂ることで長時間体内濃度を維持できる。
最後に
ビタミンEは男性で7mg、女性で6.5mgが摂取目安量とされていますが、様々な食品に含まれているのであまりにも偏った食生活をしていなければ不足することはありません。
世の中いつも栄養素単体で「あれが良いあれが悪い」などと取り上げられることが多いですが、単一の栄養素だけとっていれば健康になれるというモノはありません。
まずは食生活を見直すことです。(砂糖を止め炭水化物などの糖質の多いものを抑え、質の良いタンパク質や脂質を摂取し、同じく質の良い野菜などをバランスよく食べる)
それができた上ではじめてサプリメントなどで栄養補助を考えるのがよろしいのではないでしょうか。
ちなみにわたしはおやつにナッツ類を食べることが多いです。
体たんぱくを構成するアミノ酸は、すべてL体です。
D体のアミノ酸は自然界に存在しないとされてきましたが、実はいろいろな役割を持って存在していることが近年、見出されつつあります。
DL体はL体とD体の等量混合物で、ラセミ体ともいいます。
うま味調味料になるグルタミン酸をはじめ、今日製造されているアミノ酸の大半はL体です。この資料に登場するアミノ酸も、特に断らないかぎりL体をさしています。