食品添加物用亜酸化窒素とは

2016年1月、食品添加物用亜酸化窒素ガス(N20)を食品衛生法で定められた規格外の小型のボンベに入れて、インターネットオークションで違法に販売したとして、フィリピン人の男が逮捕されたというニュースがありました。

吸引すると一時的ですが「ハイ」な状態になることから新たな危険ドラッグとして、亜酸化窒素は懸念されています。

そんな危険とされる亜酸化窒素を安全でなければならない食品に使われているなんて、驚きですよね。

一体、なぜ、亜酸化窒素は、食品添加物として、使われるのでしょうか?
そして、どんな危険や副作用があるのでしょうか?

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亜酸化窒素とは?

窒素酸化物の1種で、化学式ではN2Oと表される亜酸化窒素は、一酸化二窒素と呼ばれることもあります。

亜酸化窒素の歴史は古く、発見は、1772年です。
化学者であったジョゼフ・プリーストリーがこれを吸入した際、気持ち良く酔えるようになったことから当時はパーティーで用いられていました。今で言うところのヘリウムガスですね。

そして、1795年、またもイギリス人化学者であったハンフリー・デービーによって、亜酸化窒素には、麻酔の効果があることを発見したのです。
ちなみに当時、ハンフリー・デービーはまだ19歳でした。

それ以降、亜酸化窒素は、「笑気麻酔」として、手術の際の全身麻酔や歯科治療での痛みや恐怖心を緩和する鎮痛剤などの医療として利用されるようになりました。

亜酸化窒素は、別名「笑気ガス」「笑気」とも呼ばれますが「笑気」の語源は、手術中の麻酔によって、弛緩した患者の表情が笑っているように見えたことからそのような別名が生まれたと言われています。

亜酸化窒素は、2016年2月に医薬品医療機器法に基づいて、厚生労働省より指定薬物に指定されていますが亜酸化窒素にはは毒性はないとされており、沸点は-90.86℃で無色・無味・無臭のガスです。

その為、亜酸化窒素は、近年、人気となっている環境に優しいクリーンな排気ガスとして、自動車の燃料の他、支熱性がある亜酸化窒素は、ロケットエンジンの燃料を高めてくれることから工業用途でも使われています。

そして、2006年4月には食品添加物としても認可されましたが日本においては、乳脂肪又は植物性脂肪のエアゾール缶(振ると瞬時に泡立つ加圧容器入りのホイップクリーム)
のみに用いられています。

食品添加物としての亜酸化窒素は、世界20カ国以上で使われています。

エスプーマとは?

生クリームを上手に泡立てて、美味しいホイップクリームを作るには、時間がかかりますよね。
泡立て器の場合、大体15分~20分はかかるので、手や腕が痛くなります。
ミキサーの場合は、手や腕が痛くなることはありませんが時間は、5分?10分と意外とかかってしまいます。
そして、何より泡立て器やボウルなどの洗い物が増えるので、より面倒になります。

「エスプーマ」とは、スペイン語です。
その意味は、「泡」です。
その名の通り、エスプーマとは、面倒な生クリームを簡単にホイップクリーム(泡)にする調理器具です。

食材をムース状(泡状)に加工する調理法(エスプーマ)に使用する為に食品添加物として認可されたのが亜酸化窒素です。

エスプーマアドバンス充填器、アドバンスディスペンサーという2つの装置からなる
「エスプーマアドバンス」という商品名で販売されています。

日本では、エスプーマの代用品として、これまで二酸化炭素を使っていましたが酸味が出ると言うデメリットがありました。

前段でもお伝えしたように亜酸化窒素は、無色・無味・無臭のガスなので、食材の味や香りを損なうことがないのがメリットです。

液状の食材を専用の加圧容器に入れ、密閉し、亜酸化窒素ガスが入ったボンベを充填して、
器具全体を振ると簡単に泡状(ムース状)にすることが出来ます。

泡状にするとまろやかな味になったり、食材の色が濃くなったりするので、見た目も華やかになる為、生クリーム以外にも果物や野菜、ハーブなどをムース状にして、ソースやデコレーションなどにも使われます。

ソースやデコレーションのトッピング(調味料)を新食感で楽しめるのが魅力です。

亜酸化窒素ガスで、あらゆる液状食品を泡状にする斬新で独創的な調理法であるエスプーマは、スペイン・カタルーニャの料理店「エル・ブジ」の料理長フェラン・アドリアが生み出しました。

瞬時に泡立ち、衛生面や保存性にも優れている調理法(エスプーマ)は、その後、世界に広く浸透し、現在、世界中のレストランや頻繁に生クリームを使用するお店などで大人気となっています。

70℃以上だと素材が容器の中で、凝固してしまいますがそれ以下であれば、温かい物も簡単にムース状になります。

安く、より簡単にホイップしたい場合は、数百円で買えるスプレー缶タイプのホイップクリームがあります。
ただ加圧容器入りのホイップクリームは、アメリカなどの輸入品が多く、日本製のものはあまり売られていません。(日本製だから安心とは言えませんが・・・)
逆にアメリカでは、スプレー缶タイプのホイップクリームは、定番で、どのスーパーでもたくさん売られているようです。

亜酸化窒素の害とは?

結論から申しますと、亜酸化窒素は、濃度が高くない場合、無害です。

手術の際の全身麻酔や歯の治療の際の鎮痛剤として、医療機関で使われる亜酸化窒素の濃度は高くありません。
その為、眠くなる、意識が朦朧とする、陶酔効果が使用後も長く続くなどの副作用はなく、安全性に優れていると言われています。

スプレー缶タイプのホイップクリームなどの加工食品に関しても適切な含有量を添加する限りにおいては安全性に問題はないとされています。

危険と言われているのは、「ハイ」な状態を求めて、高濃度の亜酸化窒素を一度の大量に吸い込んだ場合です。
濃度の高い亜酸化窒素を吸入するとその分、酸素の濃度が低くなりますので、吐き気やふらつき、呼吸困難、最悪、心肺停止に陥り、命を落としてしまう恐れがあります。

実際、イギリスでは、2006年から2012年の間で、数十人もの死者が出ています。

それもそのはず、イギリスでは、風船の中の亜酸化窒素ガスを吸って、ハイになる
「Hippy Crack(ヒッピークラック)=風船ドラッグ」と呼ばれるドラッグが大流行しているからです。

風船ドラッグの吸引に違法はなく、また500円あれば手に入るという気軽さ&手軽さから
イギリスの若者を中心に人気となっており、現在、社会問題化しています。

日本でも高揚感を求めて、亜酸化窒素の乱用が若者の間で広がりつつあります。
イギリスのように新たな危険ドラッグの大流行とならない為に警察にはしっかりと取り締まりの強化をしてもらいたいですね。

亜酸化窒素は比較的新しい食品添加物ですので、確かな安全性などないと言えます。
事実、危険な面を隠し持っているということを忘れずに正しく使っていきましょう。

ですが・・・。
やはり私ならかなり避けたい添加物の一つかなと思います。

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