白米や麺類、パンなどの主食を抜く炭水化物ダイエット=糖質制限ダイエットを継続して行った場合、脳にエネルギーが送られなくなることで、やる気や集中力がなくなったり、体がだるくなって、元気がなくなるなどの症状が生じたり、また低血糖症を引き起こす危険性が高くなると危惧されています。
しかし、それは間違った糖質制限ダイエットを行った場合です。
低血糖症に関しては、むしろ糖質を摂り過ぎてしまうことで、起こる可能性の方が高いと言われています。
一体、低血糖とはどのような症状なのでしょうか?
そこで今回は、低血糖症について詳しくご紹介したいと思います。
低血糖症とは
低血糖症とは、その名の通り、血糖値が低くなる疾患です。
低血糖は、糖尿病の方がインスリン注射を行うことで、起こる事がありますがここでの低血糖症とは、それが原因で起こるものではない為、正式には「機能性低血糖症」と呼ばれています。
血糖値が上がると私たちの体は、非常に危険な状態だと判断し、血糖値を下げる為にインスリンというホルモンを分泌します。
私たちの血糖値は、空腹時で70~90mg/dlくらいです。
糖を摂取すると上昇しますが30分~60分経過すれば、ゆっくりと下がっていきますので、150mg/dl以上になることはほぼありませんし、また65mg/dl以下にまで低下することもほぼありません。
しかし、これは血糖値調節機能が正常に働いていた場合です。
機能性低血糖症=血糖のコントロールが正常に行えなくなること。
ですので、低血糖症は、血糖値調節機能が正常に機能しなくなることで起こります。
機能性低血糖症の原因とは
血糖値が上がりすぎるor下がりすぎる機能性低血糖症の原因は、糖質の過剰摂取です。
糖を過剰に摂取すると急激に血糖値は上昇します。
すると血中のブドウ糖の濃度を安定させようと膵臓はインスリンを大量に分泌するようになります。
糖の過剰摂取を繰り返すると膵臓は、疲弊し、とうとうインスリンの量をコントロール出来なくなります。
結果、血糖値が下がりすぎる低血糖症が引き起こされることとなります。
すると今度は逆に血糖値を上げようと以下のホルモンが分泌されていきます。
- グルカゴン
- アドレナリン
- 糖質コルチコイド
上記のホルモンは、体内でブドウ糖を生成する「糖新生」というシステムなどを利用したり、グリコーゲンや脂肪を分解して糖を合成するなどして、血糖値を上げることから血糖上昇ホルモン、もしくは インスリンが血糖値を下げる働きをすることからインスリン拮抗ホルモンと呼ばれることもあります。
上記のホルモンは、血糖値上昇以外にも様々な症状を引き起こすと言われています。
血糖上昇ホルモンに因る症状(低血糖に伴う症状)とは
グルカゴンの過剰分泌に伴う症状
グルカゴンは、脂肪細胞のホルモン感受性リパーゼを活性化させて、脂肪酸を増加させる働きがあります。
脂肪酸は全身のエネルギー源として利用される為、グルカゴンが多く分泌されれば脂肪の分解がより促進されることとなりますので、ダイエットには役立ってくれますが紅斑などの水ぶくれ(皮膚症状)、口内炎、貧血、嘔吐、吐き気、腹痛、頭痛などの不快な症状を引き起こすこともあります。
アドレナリンの過剰分泌に伴う症状
アドレナリンは、命が危険であると判断した場合、体がその危機から逃れようとして、分泌されるホルモンです。
低血糖症は、まさしく危険な状態であると体は判断しますので、アドレナリンが分泌され、精神的に緊張した状態になります。
必要な時に必要な分だけ、アドレナリンが分泌されるのであれば良いのですが低血糖症状態が続くとアドレナリンが分泌され続けるので、精神的に緊張した状態が長く続くことになります。
結果、交感神経が優位となり、副交感神経とのバランスが乱れることで、全身に様々なストレスが起こりやすくなります。
交感神経が優位となると次のような症状が起こります。
- 不安、緊張、不眠(中枢神経の興奮作用)
- 動悸、頻脈(心拍数の上昇や血圧の上昇)
- 発汗、温感(心臓や骨格筋の血管拡張)
- 蒼白、寒気、冷汗(皮膚や粘膜の血管収縮)
- 便秘、下痢、胸焼け、胃もたれ、逆流性食道炎(消化管の活動低下)
副交感神経とのバランスが乱れ続けると、上記の症状は慢性化し、寝つきが悪い、中途覚醒、過眠症などの睡眠障害に悩まされるようになったり、階段を昇っただけですぐに息が切れたり、すぐに疲れたり、便秘や下痢を繰り返すなど消化管トラブルが起こりやすくなります。
糖質コルチコイド(コルチゾール)の過剰分泌に伴う症状
糖質コルチコイド(コルチゾール)は、副腎皮質から分泌されるホルモンです。
糖質コルチコイド(コルチゾール)は、免疫力を低下させて、皮膚の炎症を鎮める働きがある為、糖質コルチコイド(コルチゾール)が高まると風邪やインフルエンザ、感染症などにかかるリスクが高まると言われています。
また糖質コルチコイド(コルチゾール)は、ストレスに対応する役割も担っている為、ストレスホルモンと呼ばれることもありますが免疫力が低下した状態では、ストレスは受けやすくなりますので、糖質コルチコイド(コルチゾール)の分泌は増加すると考えられます。
そして、過剰なストレスによって、糖質コルチコイド(コルチゾール)が高まり続けると副腎は疲労し、糖質コルチコイド(コルチゾール)が十分に分泌されなくなります。
副腎疲労が原因で引き起こされる疾患は次の通りです。
- 喘息
- 慢性的な感染症
- 潰瘍性大腸炎
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- リウマチ性関節炎
- 免疫障害
- 不眠症
- 頭痛
- 疲労
- 失神
- 肥満
- 浮腫
- 無排卵
- 鬱(産後のうつ病も含む)
このように低血糖症になると実に様々な症状、疾患が現れるのです。
最悪、糖尿病患者に伴う低血糖症でしか生じないとされる低血糖症発作が起こることもあると言われています。
低血糖症を予防するには
糖質制限は、血糖値を上げにくい食事として主に糖尿病患者の治療に役立てられて来ました。
低血糖症は、糖質の吸収のしやすさが問題ではなく、あくまでも糖質の摂取量が問題です。
ですので、GI(グリセミック・インデックス)値の低い食品(白米ではなく玄米など)
を積極的に食べてもあまり効果はありません。
血糖値を上げにくくするには、唯一つ、糖質の摂取量を抑えることです。
糖質制限ダイエットを行うと低血糖値になって、イライラや不安などの症状が生じるのではと心配してしまいがちですが糖新生というシステムが備わっている私たちの体内では、
糖質を制限していても糖質が作られますので、低血糖症になることは殆どありません。
しかし、これは糖質以外の栄養をしっかりと摂取している場合です。
極端なカロリー制限ダイエットをしていた場合は、糖新生によって、作られるはずの糖質が原料不足によって、作られにくくなる為、低血糖症が起こるリスクは高まると言えるでしょう。
むしろ、菓子類やジュース、ケーキなどの甘い食べ物や飲み物を摂り過ぎてしまった
場合、低血糖症は起こりやすくなります。
なぜなら上記の加工食品には体がすぐに対応可能な量を遥かに超えた量の糖分が含まれている為です。
また依存症が高いと言われる果糖ブドウ糖液糖という糖分が多く含まれているので、甘いものへの依存性が強まってしまうことで、益々、糖質の過剰摂取→低血糖症が生じるリスクは高まると言われていますので、注意しましょう。
まとめ
低血糖症は、糖質の摂り過ぎで引き起こされます。
低血糖症になると様々な症状・疾患を招き大変、危険です。
糖質は体内で生成される為、糖質制限を行ったからと言って、低血糖症になることはありません。
お菓子やジュースなどの加工食品の糖分は、依存性が強い為、糖分の過剰摂取を促進させてしまいます。
結果、低血糖症のリスクだけはなく、肥満になるリスクも高めますので、くれぐれも甘いものへの誘惑には注意してくださいね。
糖質依存から抜け出す事が出来れば、血糖値は上がりすぎることも下がりすぎることもなく安定していきます。
これが本来の糖質制限ダイエットであり、低血糖症の一番の予防策と言えるでしょう。
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